役員貸付にはトラップがいっぱい
会社を始めたばかりの中小企業だと、社長が報酬を取ることが出来ず、軌道にのるまで生活費を会社から借りることがあると思います。
また、法人成りした場合は特に全て自分のお金という感覚が抜けずに曖昧に運用してしまい、法人口座からおろし過ぎた分が帳簿上役員貸付になっていた!なんてことも。
いずれ返すし
契約書つくるし
帳簿もつけるし
【自分の会社だし】
問題ないでしょ、と気軽に借り入れをするほど敷居は高くなかったりします。
これら役員貸付は立替金とは異なり、会社にとっては財務活動になりますので、会社は利息をとる必要があります。
まず、利率をみてみましょう。
その会社が借入をしている場合には、その調達金利の平均を使います。
借入がない場合は【特定基準割合】という延滞税などの計算に使う、国が指定する利率を使います。
ちなみに、先日担当した決算では、信用組合から3つの借入があり平均は3.4%でしたので、この率で利息を計上しました。
借入がなかった場合、今年の特定基準割合は1.8%でした。
前期はノンバンクから8%で借りており、これと短プラの平均で計算していたようでした。
このように利息計算も一筋縄ではありません。
では利息つけずに調査で指摘されたら?
利息をとらなかった場合のみならず、1.8%よりも低い利率だった場合も差額が給料とみなされて所得税が課税されます。
未収利息/受取利息 ※益金参入
役員報酬/未収利息 ※役員報酬の源泉発生
社長にとっては元本に加え利息を払う必要があります。
会社にとっても計上した受取利息は利益になり税金にはねます。
また、銀行と取引する場合にも貸借対照表に役員貸付があるのは見栄えのよいものではありません。
どうしてもという状況でない限り、安易に会社からお金は借りない方がよさそうです。