保育料の話
会社は一月末に給与支払報告書という、誰にいくら支払ったかの情報を市区町村に提出する義務があります。
この金額を元に翌年6月以降の住民税が決まります。
よく、年収が落ちると翌年の税金が大変だと言いますが、サラリーマンに限っては前年の所得に応じて決まる住民税の話になります。
私も転職してガタっと給料が下がりましたので、初年度の住民税はずーんと重くのしかかりました(ノ_<)
さて、保育園は市区町村が運営し保育料の決定をしているので、保育料は世帯の住民税をベースに決められます。
社会保険料もそうですが、公的なものは所得に応じて負担が決まるのが基本ですね。
所得の高い人は、こんなに払って割に合わない、といい。
所得の低い人は、そうでもしなきゃ暮らせない、といい。
中間層は、中間層のはずなのになんでこんなにカツカツなの、と叫ぶ。
ちなみに保育料のベースは住民税のなかでも、市町村民税【所得割】というもので、税額控除前の所得にかかるものですから、いくらふるさと納税や住宅ローンで減税しても下げることはできませんのであしからず。
役員貸付にはトラップがいっぱい
会社を始めたばかりの中小企業だと、社長が報酬を取ることが出来ず、軌道にのるまで生活費を会社から借りることがあると思います。
また、法人成りした場合は特に全て自分のお金という感覚が抜けずに曖昧に運用してしまい、法人口座からおろし過ぎた分が帳簿上役員貸付になっていた!なんてことも。
いずれ返すし
契約書つくるし
帳簿もつけるし
【自分の会社だし】
問題ないでしょ、と気軽に借り入れをするほど敷居は高くなかったりします。
これら役員貸付は立替金とは異なり、会社にとっては財務活動になりますので、会社は利息をとる必要があります。
まず、利率をみてみましょう。
その会社が借入をしている場合には、その調達金利の平均を使います。
借入がない場合は【特定基準割合】という延滞税などの計算に使う、国が指定する利率を使います。
ちなみに、先日担当した決算では、信用組合から3つの借入があり平均は3.4%でしたので、この率で利息を計上しました。
借入がなかった場合、今年の特定基準割合は1.8%でした。
前期はノンバンクから8%で借りており、これと短プラの平均で計算していたようでした。
このように利息計算も一筋縄ではありません。
では利息つけずに調査で指摘されたら?
利息をとらなかった場合のみならず、1.8%よりも低い利率だった場合も差額が給料とみなされて所得税が課税されます。
未収利息/受取利息 ※益金参入
役員報酬/未収利息 ※役員報酬の源泉発生
社長にとっては元本に加え利息を払う必要があります。
会社にとっても計上した受取利息は利益になり税金にはねます。
また、銀行と取引する場合にも貸借対照表に役員貸付があるのは見栄えのよいものではありません。
どうしてもという状況でない限り、安易に会社からお金は借りない方がよさそうです。
歩合制の社会保険料はどう決める?
一般に社会保険料は、4月から6月に支払った給料の平均で月額標準報酬が決まり、これに応じて7月以降(徴収は8月からが多い)の金額が決まります。
厚生年金部分は将来の年金額の基礎となるので多くても損ではないのですが、健康保険分は同じサービス(医療費の3割負担)を受けることを考えると多いほど損な気がしてしまいますね。
それを見越して3〜5月は残業を抑えるなんて方も多いのではないでしょうか。
原則は年に一回の基礎算定で年間の社会保険料を決めるのですが、昇給などにより基本給が一定以上上がった場合(下がった場合もしかり)には随時月額変更を行い、適正な社会保険料を納める仕組みになっています。
年金事務所から社会保険の調査が入った場合には、社会保険に加入すべき人を加入させていなかったり、正しく月額変更をしていないと指摘を受けることになります。
さて、表題の歩合制の方について。
営業の歩合給であったり売上連動による歩合があったりして、毎月のお給料の変動が大きい方はどうなるのでしょうか?
お客様の例を見ていると、常に月変するなんてことはもちろんなく、基礎算定の際に歩合の見込平均額を出して年間の月額標準を提出しているようです。
こうすべしというルールの明記もないため、社労士さんに相談して決めていたり、ご本人が年金事務所に賃金台帳を持って行って直接決めてきたりしているようです。
勤め先は会計事務所であるため社労士業務は出来ないのですが、お客様にしてみれば何が税理士で何が社労士かなんて分かりません。
誰にどう相談すべきかは伝えて差し上げたいので、守備範囲外と思わず、ある程度色んなケースを知っておくのも必要だなと感じています。
納付書をなくしちゃった時は?
決算月の段取りとしては、打合せで決算報告書や納税額の説明&確認を行い、申告書の最終チェックをした後にお客様に納付書を送ります。
## 先日、電子納税や振替のことを挙げましたが、まだまだ納付書で支払っているところが多いです。
そのため、税務署や地方自治体から送られてくる、納付書等が入っている封筒を打合せに持参してもらうようにしています。
しかし、ルーズな方だと、どっかいっちゃった〜ということも。
税務署や地方自治体に納付書を再発行してもらうことも可能ですが、ちょっと面倒です。
そんな時は、、
◆HPからダウンロード
地方自治体の場合はHP上に様式がアップされているので、ダウンロードして使うことが出来ます。
しかし国税局のHPにはアップされていません。
そこで、、
◆税務申告ソフトから印刷
申告書と金額が連動してそのまま納付書の形式で印刷できるものが多いと思います。
普通の納付書はカーボン複写式ですが、このタイプは3枚綴りになっており、同じように使うことが出来ます。
事務所で使っている【達人】でも3枚組の納付書を印刷してお客様に渡しています。
地方自治体にしても税務署にしても、とにかく納税してほしいわけですから、なんで失くしたのか!なんて邪険にしたりはしないはず。
納付書がないだけで遅れてしまい延滞がついてもつまらないので、緊急度によってはまず電話してみたほうが早いかもしれません。
事務コスト削減の巻
銀行って、月初や五十日(ごとうび)はかなり混みますよね。以前一時間半も待ってだいぶイライラしたのを覚えています(ーー;)
昔は窓口で支払いをする光景をよく見ましたが、今は様々な仕組みを使うことで、事務コストの削減が可能です。
◆源泉所得税 納期の特例
従業員10人未満であれば、納付を半期に一度に出来る特例が使えます。これで毎月の納付事務をカット。
◆電子納税
源泉所得税や法人税、消費税などは電子申告すると番号が発行されるので、この番号をもってPay-easyで振込が出来ます。
インターネットなので、銀行の営業時間やATMの時間外手数料から解放されます。
◆ダイレクト納税
事前登録した法人口座からの直接振替も可能です。心理的に引落には抵抗ある方も多いかと思いますが、私も自分の確定申告は振替にしています。とにもかくにもATMも窓口も面倒ですし、間違っても時間外手数料は払いたくないなと。
◆口座振替
特別なことではありませんが、水道光熱費、通信費、家賃、社会保険料などの固定費は引落が一番です。払い忘れに対するストレスフリーは大きいです。
名義等の問題で手続きに時間がかかりそうならまずPay-easyをどうぞ。
◆ネットバンキング 総合振込
お給料振込や各種請求の振込はネットバンキングで。総合振込を使うと複数の振込を一括して指定日に振り込めるので、お給料や月末支払いなど、月に一回の作業で済みます。
◆クレジット
現金帳を付ける面倒を考えると、経費の支払いはいっそのこと全てカードにしてしまうのも手です。csv出力も出来るので、会計ソフトにも流せて楽チン。現金の管理って面倒ですから。
◆注意点
それでも2ヶ月に1回くらいは記帳しておきましょう。銀行によりますが、一定期間、一定件数以上未記帳があると、合算表示になってしまいます。(明細の請求は出来ます)
工夫してできる限り不要な事務作業を減らし、クリエイティブな活動に時間を割けるようにしたいですね。
マイナンバー そのシステムと運用
私が転職したのはここ2,3年の話なので、国税も地方税も電子申告です。
事務所では申告書の作成や電子申告にNTTデータの達人を使っており、今年からマイナンバー対応になっています。
マイナンバー運用開始以降、こマイナンバーの収集や登録といったインプット作業が主でしたが、今後、支払調書や年末調整(源泉徴収票の発行)から本格的にアウトプットが始まるのでソワソワしてくる頃です。
今日はそのシステムと運用について。
達人の仕様としては、マイナンバーを扱える権限が新設され、権限のないアカウントがマイナンバーを含む申告書や申請書を扱う際には、マイナンバーがアスタリスク【✳︎】表示になります。
操作ログも残ります。
暗号化もされており【データベース上のマイナンバー】に対するセキュリティは確保されているといえます。
ひとつ気になるのは、メンテナンスで使用するシステム管理者にはデフォルトでマイナンバーの操作権限が与えられていることでしょうか。
システム管理者=万能
ひと昔前はシステム管理者権限で何でも出来るのが当たり前でしたが、そういう権限を使った内部犯(だいたいは社員ではなく請負先)による情報漏洩はニュースでよく目にします。
だいたいの場合、税理士の先生やパートナーがシステムメンテナンスをするわけはなく、運用の場面では、必ずしもシステム管理者は業務責任者ではありません。
またシステム上は安全でも、収集の過程では紙に書かれたマイナンバーをシステムに入力するしかないわけで、紙の保管や入力、閲覧の権限やアクセス管理といった一連の運用をしっかりしなければ結局セキュリティは担保出来ません。
顧客から預かった扶養控除申告書がファイリングされて棚に置かれているというのでは、本末転倒です。
運用もシステムも万全。でもバイトのシステム管理者にはマイナンバーが見えてしまう、なんて矛盾もありやなしや。
freeeとITスキルの親和性
自動経理ソフトfreeeが世に出て久しく、使いやすい!おすすめ!という人もいれば、使い物にならん!という人も。
当然、業種や取引内容、件数により合う合わないはあると思います。
また、freeeの意図通りに設定カスタマイズするスキルを持ち合わせているかどうかにもよります。これは会計スキルではなくITスキルとの親和性が高い。
口座の同期のために銀行やクレジット会社でIDとパスワードを登録するようなことが苦じゃない方、科目やテンプレートのカスタマイズが直感的にできる方には向いています。
また、簿記の知識が全くない方のほうが疑問を持たずに処理できるので馴染みます。
給料明細を見たまま入力、領収書は写メ撮って反映、口座は自動同期。
簿記を知らなくとも【処理】出来てしまうのです。
一方で会計知識のある方にとっては、複式簿記の概念がなく(正しくはユーザーインターフェースに出さないだけで内部的には複式簿記になっている)、逆に取引先やテンプレート、コメントなどの付加情報がついているためごちゃごちゃして情報が読み取りづらい。
シンプルに総勘定元帳を見たいと思えばいちいちダウンロード出力しなければなりませんし、仕訳を検索する際もプルダウン操作がメインなので、多くの選択肢の中から選ぶ作業が大変面倒です。プルダウン表示有無もカスタマイズ出来たと思いますが、このへんの最適化が出来るかは人によります。
またwebブラウザなので、ローカルにインストールした会計ソフトに比べると反応が遅く画面の切替にイライラします。
しかし元帳をチェックしたり仕訳を検索して検証したりするのは会計事務所だけでしょうから、個人の方が使う分には不足ないはずです。気軽ですし。
規模のある法人は会計ソフトを使うので、freeeを使っているお客様はだいたい一人社長でIT系、ネット系事業の方です。
帳簿を作るのが職人である必要はないと思います。インプットである通帳や請求書、領収書等は客観的なものなので、人の手を介さずにそのままの状態でデータ化出来るのであればそれに越したことはないと思います。帳簿は「そういう客観的事実があります」という記録ですから。
キャッシュフローは未来のことだが、会計(BS,PL)は過去のことなので社長の関心も重要度も低いとはよく言ったもの。
過去のものである客観的データをどう処理するかの問題であれば、そこはまさにITの領域です。税務会計スキルは、処理のエラー検知やデータ活用に発揮されるべきで、その顧客対価のバランスがとれればいいのだろうなと思います。
freeeのスマホアプリをダウンロードしたので、少し使ってまたレポートしてみます。